2026.09.01 | 文章改善プロジェクト

難しい語を禁じたら、同じ題材の記事で
漢語のかたまりが千字あたり42箇所から27箇所へ減った

マスタールールに文の役割ごとの型と、難しい語の判定基準を足した。同じ題材で書き直した2つの版を並べて、どこが変わったかを記録する。行き止まりに入った経緯は 作業ログ に置いた。
きっかけ

睡眠の記事で「落ちる量が日数とともに積み上がる」と書いてしまい、何が落ちるのかと何の日数なのかの両方が文から消えた。ルールは既にあったのに、通す時点が決まっていなかった。

足したもの

説明する文の7つの役割とスロット、規格が定める語形8区分、難しい語の判定基準。合計7条をマスタールールへ追加した。

結果

同じ題材の2つの版で、漢字3字以上の連続が千字あたり42箇所から27箇所へ減った。文の平均は47字から43字になった。

追加した条
7
正本・output style・毎ターン注入の3か所に反映
書いた記事
6
睡眠2本・分析報告書1本・考察記事2本・手順書1本
ゲートが止めた回数
10
書き込み前の検査で差し戻した回数
最終判定
0
6本とも FATAL・超過・読点・構成・省略すべて0
01

同じ題材で書いた2つの版

題材は「銭湯が減ったのか、風呂屋の商売が縮んだのか」。左が文の役割の型だけを入れて書いた版で、右は難しい語の判定基準を足したあとに書き直した版になる。冒頭の2段落を並べる。

v1|文の役割の型だけ

32文・平均47字

厚生労働省の衛生行政報告例によると、令和6年3月末の公衆浴場の営業許可施設数は23,673施設で、そのうち一般公衆浴場は2,847施設だった。

一般公衆浴場の割合は昭和45年の87%から令和5年度の12.0%へ下がっている。つまり浴場業そのものが12%まで縮んだのではなく、業種の中で一般公衆浴場が占める割合が12%まで下がった。

v2|難しい語の判定基準あり

37文・平均43字

厚生労働省が毎年まとめている衛生行政報告例によると、令和6年3月末に営業の許可を受けていた風呂屋は全国で23,673軒あった。そのうち2,847軒が一般公衆浴場である。一般公衆浴場とは都道府県が入浴料金の上限を決めている店を指す。日常語で言う銭湯にあたるのが、この2,847軒である。

銭湯の占める割合は昭和45年の87%から令和5年度の12.0%まで下がった。ただし風呂屋の商売そのものが8分の1に縮んだわけではない。

出典: 厚生労働省「衛生行政報告例」(令和6年3月末現在)。両版とも数字は同じで、変えたのは語と文の切り方だけ。

語がどう入れ替わったか

v1 の書き方v2 の書き方判定
営業許可施設数は23,673施設営業の許可を受けていた風呂屋は23,673軒言い換えても意味が変わらないので日常語にする
一般公衆浴場は2,847施設一般公衆浴場とは都道府県が入浴料金の上限を決めている店を指す統計の区分名なので残し、初出で開く
浴場業そのものが12%まで縮んだ風呂屋の商売そのものが8分の1に縮んだ言い換えても意味が変わらないので日常語にする
複合施設の建設風呂と食事どころを一緒にした店が新しく建ったこと言い換えても意味が変わらないので日常語にする
体感に近いのは3のほう住んでいる人の実感に近いのは3のほう「体感」は指す相手が決まらないので明示する
物価統制令に基づいて物価統制令という戦後からある法令に基づいて法令名なので残し、初出で役割を添える
02

測った数値

漢字3字以上が連続する箇所を、漢語が固まっている位置の目安として数えた。見出し・表・URLを除いた地の文だけを対象にしている。
v1(型のみ)
42 箇所
v2(平易化あり)
27 箇所
単位は千字あたりの箇所数。v1が本文1,500字で63箇所、v2が1,590字で43箇所。

文の長さと読点

文章文の数平均の文長60字を超える文1文あたりの読点
銭湯 v1(型のみ)3247字16%1.0個
銭湯 v2(平易化あり)3743字
分析報告書(AI要約と検索)3939字10%0.8個
手順書(防災倉庫の記載例)5029字4%0.4個
参考: 評論サイトの記事1本2847字21%2.4個
評論サイトの記事は Books&Apps に2026年7月22日に掲載されたもので、手本として計測に使った。手本の半分以下にとどまっているのは読点の数だけになる。
03

今日マスタールールに足した7条

出典は公用文作成の考え方(2022年1月・文化審議会建議)、ISO/IEC Directives Part 2(第9版2021年)、JIS Z 8301(2019年)の3つ。書籍1点は本文を確認できなかったため材料から外した。
内容出典と、足した理由
0-3-3段落の中の文は、役割を1つ選んでスロットを埋めてから書く(7役割)段落の第1文と最後の文には型があったのに、段落の中の文だけ型が無かった
0-3-3-2規定と手順は、語形で役割を示す(要求・禁止・推奨・緩い禁止・許容・不必要・可能性・外部の制約の8区分)JIS Z 8301 と ISO/IEC Directives Part 2
0-3-3-3抽象語を出したら、同じ文か次の文でその語が指すものを並べるBooks&Apps の記事が「評価」の直後に6組を並べていた
3-1-1「が」ではつながず、関係を特定できる助詞を使う公用文作成の考え方 Ⅲ-3 カ。「が」は逆接と単純接続のどちらにも読める
3-7-1難しい語を使ってよいのは、日常語へ言い換えると意味が変わる場合だけ読み手を1人に決めると、その人が知っていそうな語まで通してしまう
3-7-1-2素っ気なく見えても、語を難しくして短くしない。短くするなら文を割る材料が手元にあるのに格好のつく語へ丸めた実例が出た
3-7-4測定を表す名詞を書くときは、何を測ったものかを直前に書く「落ちる量が日数とともに積み上がる」を機械で拾えるようにした
04

機械の検査が止めた10回の中身

書き込み前のゲートが差し戻した回数を記事ごとに数えた。止まった項目は記事の種類で偏っている。
記事止まった回数止まった項目
睡眠 v11読点6件
睡眠 v21読点2件・擬人化1件・語の省略1件
分析報告書2読点5件・擬人化1件・数詞の名詞省略1件・強調密度の超過/円環構成1件
考察記事 v13読点が4件から2件を経て0件へ。数詞の名詞省略と円環構成も1件ずつ
手順書3読点が21件から7件を経て1件へ
考察記事 v21読点4件・数詞の名詞省略1件
手順書で読点が21件出たのは、規定文が「◯◯は、」で主語を立てる形を多く含むためだと読める。文の種類による偏りなので、次に手順書を書くときも同じくらいの数が出る可能性がある。

検査の側で見つかった不具合2件

円環構成の判定が、出典の一覧を最終段落として数えていた

日本語の出典は冒頭と同じ固有名詞を並べるため、重複率が上がって誤って発火する。出典・参考文献・注の見出しから下を対象外にした。分析報告書のまとめも冒頭の言い換えになっていた(重複率0.29)と分かったので、そちらも書き直した。

読点の辞書に接続詞と副詞が19語足りなかった

手本の記事を測ったところ10件の違反が出て、うち4件は「かといって」「というのも」「本来」が接続詞として登録されていないための誤検知だった。19語を追加して6件になった。

05

4件とも判断が出た(2026-09-01)

保留にしていた4件は同日中に方針が決まった。ここには決まった内容と直した箇所を残す。
判断した項目決まった内容直した箇所
1文あたりの読点をいまの0.4〜1.0個のまま進めるかそのまま進める変更なし。削ってから人が足す形にすると、書き手が読点を消す作業を毎回はさまずに済むため
「語の省略」の検出を、書き込みを止める側へ移すか移す書き込み前のゲートで、成果物のとき上限0にした。移す前に除外を4種類足して、既存35ファイルでの検出を15件から3件へ減らした
手順書だけ読点の基準を別にするか別にしない変更なし。文の種類ごとに基準を変えると、どの基準がどこに当たるかを追えなくなるため
「何割か」に答えず理由を説明する形の記事を出してよいか出してよい変更なし
「語の省略」で足した除外は4種類ある。密度と頻度を対象から外す、名詞と一体になった複合語を除く(読書量・音量・交通量)、数詞に続く目安の表現を除く(150字程度)、「」で囲んだ引用を除く。
06

付録:今回やっていないこと

この記録の範囲外にした項目を明記する。